外壁・屋根塗装は、決して安くはないリフォーム工事です。
頻繁にするものではないので相場感がわかりにくく、さらに専門知識が求められるため、業者選びに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
特に注意したいのが、「悪徳業者」の存在です。
突然の訪問をきっかけに、不当な金額で不要な工事を契約させられたり、ずさんな施工をされてしまったりというトラブルも少なくありません。
本記事では、悪徳業者によくある手口や対処法を具体的に紹介しつつ、安心して依頼できる業者を見極める方法を解説していきます。
外壁・屋根塗装には悪徳業者が多い理由
外壁・屋根塗装は、資格がなくても業者を名乗れてしまうため、新規参入がしやすい業界です。
そのため、経験や知識の浅い業者や、施工品質の低い業者が紛れ込みやすい一面があります。
また、外壁や屋根の塗装はそう頻繁に行うものではありません。
そのため多くの人にとっては費用の相場感がわかりにくく、塗料の質や工事内容の違いが見えにくいという点も、悪徳業者にとってはつけ入る隙になります。
だからこそ重要なのが、「見抜く力=正しい知識」を持つことです。
外壁・屋根塗装の悪徳業者のよくある手口6選
外壁・屋根塗装の契約でトラブルに巻き込まれる人は後を絶ちません。
特に訪問販売や不透明な見積もりなど、「騙すつもりで近づいてくる業者」には十分な注意が必要です。
ここでは、実際によくある悪徳業者の手口を6つご紹介します。
「近所で工事中です」など突然訪問してくる
悪徳業者がよく使うのが、「近所で工事をしているのでついでに安くできます」という飛び込み営業です。
「今ちょうど近くで足場を組んでいるので特別価格でできます」と言ってくることもありますが、そもそもその現場が実在するかどうかも怪しい場合があります。
「ご近所さんの工事を担当しているなら安心かも」と警戒心が薄れ、断りづらい空気に流されて契約してしまうケースもあるので注意しましょう。
本当に近所で工事をしているのか、どんな会社なのか、本当に必要な工事なのかを自分で調べる姿勢が大切です。
「今だけ値引き」「モニター価格」などの違和感のある値引き
「本日中の契約に限り、30万円引きにします」や「今ならモニター価格で外壁塗装が格安」といった言葉もよくある手口です。
割引額が大きいのでお得に見せかけていますが、実は最初の価格設定が不自然に高い可能性もあります。
本当にお得なのかを見極めるには、相場を知ることが一番確実です。
「急がせてくる+大幅な値引き」には、少し立ち止まって考える余裕を持つようにしましょう。
「無料点検」で不安をあおってくる
「無料点検しませんか」と声をかけてくる業者も少なくありません。
点検の結果「今すぐ修理しないと雨漏りする」と不安を煽り、そのまま高額な契約へと誘導するパターンです。
無料点検と聞くと「一度お願いしてもいいかも」と思ってしまいますが、点検と称して強引な営業を仕掛けてくる場合もあります。
屋根や外壁は見えないからこそ、無料点検は慎重に受けるべきです。
「本日中に契約すれば〜」と即決を迫る
「本日中に決めてもらえればキャンペーン価格でやります」「本日中に契約すれば早割り」などと言って、考える余地を与えず契約を迫る業者もいます。
これは冷静な判断力を奪う典型的な手法です。
優良な業者であれば、施主が内容を十分に理解し、納得したうえで契約することを勧めてくれるはずです。
誰かに相談する時間を与えず「その場で即決しないと損する」と感じさせてくる業者こそ、むしろ疑ってかかるようにしましょう。
見積もりが「一式」表記で内訳が書いていない
「塗装工事一式○○万円」と書かれた見積もりを出してくる業者には要注意をしましょう。
内訳が不明な見積もりでは使用する塗料の種類や下地処理の有無、施工範囲が一切わからず、手抜き工事や高額請求をされても気づけません。
信頼できる業者は、塗料名、塗装回数、施工工程など、明細を細かく記載してくれます。
「一式」という曖昧な表現が多い業者は避けましょう。
工事中に突然「追加費用が必要」と請求される
契約時の見積もりにはなかった内容を、工事が始まってから「ここも劣化していて追加が必要です」と言って請求してくるケースもあります。
このような後出し請求は、相手に知識がないことを逆手にとった悪質なパターンです。
施工中に予期せぬ劣化が見つかることはありますが、信頼できる業者は事前に追加費用の可能性について説明してくれます。
もし追加で作業が必要になった場合、施工主に説明し同意を得てから作業に入るのが本来あるべき姿です。
悪徳業者に引っかかったときの対処法と相談先
万が一、悪徳業者と契約してしまったとしても、すぐに諦める必要はありません。
早めに適切な対応を取れば、トラブルの被害を最小限に抑えられます。
ここでは、悪質な業者と契約してしまった場合の3つの対処法をご紹介します。
クーリングオフについて知っておく
外壁塗装の契約でよくある「訪問販売」や「電話勧誘」は、クーリングオフ制度の対象です。
この制度を利用すれば、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、契約を解除できます。
ただし、制度を適用するには、以下の条件を満たす必要があります。
【クーリングオフの適用条件】
・訪問販売や電話勧誘による契約であること
・書面(契約書)を受け取ってから8日以内であること
・契約者が個人であること(法人契約は対象外)
消費者が業者を呼んだり、店舗で契約したりするケースは対象外です。
外壁、屋根塗装のような高額リフォームはクーリングオフ制度の対象になりやすい傾向にあります。
契約に不安がある場合は必ず日付や内容を確認し、早めに行動しましょう。
消費者センターや国民生活センターに相談する
契約内容に疑問がある、業者と連絡が取れない、強引な勧誘を受けたなどの場合、一人で悩まず早めに第三者に相談することが大切です。
誰に相談したらいいかわからない場合は消費者ホットライン「188(イヤヤ)」に電話をしましょう。
お住まいの地域の消費生活センターに自動でつながり、専門の相談員が状況をヒアリングしながら適切なアドバイスをしてくれます。
クーリングオフや業者との交渉など具体的な対応方法も教えてくれるので、気軽に相談してみてください。
契約前でも録音・メモなどを残す
悪徳業者とのやりとりでは、証拠を残すことも大切です。
たとえ契約前でも、営業担当者との会話を録音したり、会話の内容をメモしておいたりすることで、あとから状況を正確に伝えられます。
具体的には以下の内容を録音・メモしておくと安心です。
・営業担当者の名前や会社名
・訪問日
・どのような説明をされたか
・契約を急かされた証言
・工事内容 など
録音やメモによる情報は、後のトラブル対応で大きな助けになります。
信頼できる外壁・屋根塗装業者を選ぶ5つのポイント
信頼できる業者を選ぶには、以下5つのポイントを意識することが重要です。
1. 経験と専門性のある職人が施工しているか
2. 地元密着で施工実績が豊富かどうか
3. 下請けではなく自社施工かどうか
4. 診断や見積もりが丁寧でわかりやすいか
5. 小さな工事にも対応してくれる柔軟さがあるか
「誰が塗るか」「どんな見積書か」「地元に根付いているか」などを総合的に見て、信頼性を判断しましょう。
費用だけで選んでしまうと、後悔する可能性があります。
急な訪問では冷静な判断が難しいかもしれませんが、こうしたポイントを意識して選べば、後悔の少ない選択ができるはずです。
悪徳業者の手口を知って安心して依頼できる業者を選ぼう
外壁や屋根の塗装はコストも知識の面でも少しハードルが高く、判断を誤るとトラブルにつながりやすいリフォームです。
特に、訪問販売や不透明な見積もりを用いる悪徳業者の手口は年々巧妙になっており、十分な注意が必要です。
ただし、正しい知識を身につけておけば、こうしたトラブルは未然に防ぐことができます。
「即決を迫る」「不安をあおる」「内訳のない見積もりを出す」といった典型的な手口をあらかじめ知っておくことが、何よりの防御策となります。
納得できる塗装工事を実現するためにも、焦らず冷静に、慎重な業者選びを心がけましょう。