吹き付け塗装は、立体感のある仕上がりや施工スピードの早さが魅力です。
しかし、塗料の飛散リスクや職人の技量に左右されやすいなど注意点もあります。
この記事では、吹き付け塗装の特徴やローラー塗装との違い、メリット・デメリットを解説します。
外壁塗装を検討している方が、自宅に合った塗装方法を見極められるよう、判断材料となる情報を紹介しているので、参考にしてください。
吹き付け塗装の基礎知識
吹き付け塗装の基礎知識として、以下の2つを解説します。
・吹き付け塗装とは
・ローラー塗装との違い
順に確認していきましょう。
吹き付け塗装とは
吹き付け塗装とは、スプレーガンという機械を使って塗料を霧状に吹き付ける外壁塗装の方法です。
ローラーや刷毛では塗りにくい細かな凹凸にも、均一に塗装できるという特長があります。
塗膜が薄く広がることで、立体感のあるおしゃれな仕上がりになりやすく、デザイン性を重視する住宅にも採用されます。
ただし、施工には専用の機材と高い技術力が必要です。
現在は戸建てよりも、工場や倉庫などの大規模な建物で使われるケースが多くなっています。
ローラー塗装との違い
ローラー塗装は、施工方法や仕上がり、作業時間などが吹き付け塗装と異なります。
吹き付け塗装はスプレーガンで塗料を霧状に吹きつける方法で、凹凸感や立体感のあるデザイン性の高い仕上がりになるのが魅力です。
一方、ローラー塗装は塗料を転がして塗る手作業の工法で、平坦で落ち着いた印象に仕上がります。
作業スピードは吹き付け塗装の方が早く、広範囲を短時間で塗装が可能です。
ただし、塗料が飛散しやすく機械音やにおいが出やすいため、養生や近隣配慮が欠かせません。
ローラー塗装は作業に時間がかかる反面、飛散が少なく静かなため、周囲への影響を抑えられます。
費用は、吹き付け塗装の方が平方メートル単価で安くなる場合もありますが、職人の技術力や施工条件によって差が出るため注意が必要です。
吹き付け塗装のメリット
吹き付け塗装のメリットは以下のとおりです。
・施工スピードが早く広範囲でも対応しやすい
・複雑な外壁形状でもムラなく仕上がりやすい
・おしゃれで立体感のあるデザインを実現しやすい
上記に挙げたメリットについて、くわしく解説します。
施工スピードが早く広範囲でも対応しやすい
吹き付け塗装はスプレーガンを使って塗料を一気に吹き付けるため、作業効率に優れています。
職人の手作業によるローラー塗装と比べて、1日に塗れる面積が広く、スピーディーに仕上げられます。
2階建てや外壁面積が広い住宅でも、短期間での施工が可能です。
工期が短縮されることで、足場や塗装作業による生活への影響も最小限に抑えられます。
そのため、家族のストレスを減らしたい方にとってもメリットがあります。
複雑な外壁形状でもムラなく仕上がりやすい
吹き付け塗装は塗料を霧状にして広く均一に吹きつけるため、複雑な外壁形状にも対応しやすい工法です。
凹凸の多いモルタル壁や、装飾性の高いデザイン外壁でも塗り残しが出にくく、細かな溝や隙間にも塗料がしっかり届きます。
また、職人の力加減に左右されにくく、ローラーや刷毛で起こりやすいムラが出にくいのも特長です。
仕上がりの品質が安定しやすく、意匠性を保ちたい住宅にも適しています。
塗りにくい場所もスムーズに仕上げやすいため、施工の自由度が高いこともメリットのひとつです。
おしゃれで立体感のあるデザインを実現しやすい
吹き付け塗装は塗料の重ね方や吹き付けの工夫によって、さまざまな質感や表情をつくりやすいのが特長です。
リシン・スタッコ・吹き付けタイルといった仕上げを使えば、立体感のある個性的な外観を演出できます。
外壁の風合いを変えたい方や、デザイン性にこだわりたい方におすすめです。
また、従来のローラー塗装では出しにくい奥行きや陰影が表現できるため、外観に個性を持たせたい住宅にも適しています。
施工技術により表現の幅が広がるため、業者選びの段階で事例を確認しておくと安心です。
吹き付け塗装のデメリット
一方で、吹き付け塗装にはメリットだけではなくデメリットも存在します。
吹き付け塗装のおもなデメリットは以下のとおりです。
・塗料の飛散リスクがある
・音やにおいが発生しやすい
・天候の影響を受けやすい
・塗料のロスが多い
・職人の技術力によって仕上がりに差が出やすい
それぞれのデメリットについて、くわしく解説します。
塗料の飛散リスクがある
吹き付け塗装は、スプレーガンを使用して塗料を霧状にして吹きつけるため、風に乗って塗料が飛散しやすいです。
特に住宅街などでは、周囲の住宅や車に塗料が付着してしまうリスクがあります。
塗料の飛散を防ぐには、しっかりとした養生作業が欠かせません。
外壁だけでなく、窓や玄関、隣家との境界部分なども丁寧に保護する必要があります。
養生にかかる時間や人手が増えやすく、結果として施工コストが上がるケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
音やにおいが発生しやすい
吹き付け塗装では、塗料を噴霧するためにスプレーガンとコンプレッサーを使用します。
そのため、機械音が発生しやすく、施工中は周囲に響くことがあります。
吹き付け塗装はローラー塗装に比べて騒音が気になりやすいため、近隣住民への配慮が欠かせません。
また、塗料を空気中に細かく飛ばす関係で、施工中は独特のにおいが広がりやすい傾向にあります。
特に住宅が密集しているエリアでは、施工前に近隣へのあいさつや説明をしておくことで、トラブルを未然に防ぎましょう。
天候の影響を受けやすい
吹き付け塗装は、塗料を霧状にして空気中に噴霧するため、天候の影響を受けやすい工法です。
特に風が強い日は、塗料が思わぬ方向に飛散する恐れがあるため、作業を中止せざるを得ないことがあります。
また、風向きや湿度によっては、塗料の密着性が弱くなったり、乾燥にムラが出たりするケースも珍しくありません。
ローラー塗装に比べて天候による制約が大きいため、施工のタイミングには慎重な判断が求められます。
近隣への飛散トラブルを防ぐ意味でも、風や湿度の状況を確認しながら作業計画を立てることが大切です。
塗料のロスが多い
吹き付け塗装は、塗料を霧状にして空中に噴霧するため、どうしても周囲に拡散してしまう分が発生します。
塗料の一部が風に流されたり、空気中に漂ったりすることで、無駄になる量が多くなりやすい工法です。
ローラー塗装と比べて、実際に外壁へしっかりと付着する塗料の割合が低いため、効率面では不利になることがあります。
特に面積が広い場合は、こうしたロスによって塗料の使用量が増え、結果として材料費がかさむ可能性もあります。
職人の技術力によって仕上がりに差が出やすい
吹き付け塗装は、スプレーガンで塗料を均一に吹きつける必要があるため、高度な技術が求められます。
吹き加減や距離のわずかな差でも塗りムラや塗料の垂れが起きやすく、仕上がりに影響がでます。
特に経験の浅い職人が担当した場合は、全体の色ムラや塗りすぎによる厚みの不均一が発生しやすいです。
そのため、吹き付け塗装を依頼する際には、過去の施工実績や職人の経験年数を確認しましょう。
吹き付け塗装が向いている方
吹き付け塗装は、凹凸の多いモルタル外壁や装飾性の高い外壁材とも相性がよく、下記に該当する方には、吹き付け塗装が向いています。
・モルタル外壁や凹凸が多い外壁を塗装したい方
・リシンやスタッコなど既存の外観デザインを残したい方
・塗装工事をできるだけ短期間で終わらせたい方
吹き付け塗装は、外壁の状態や仕上がりにこだわりたい方に適した工法です。
細かな凹凸に対応しやすく、意匠性の高い外壁の風合いをそのまま活かせる点も魅力です。
また、作業効率が高いため、できるだけ早く塗装を終えたい家庭にも向いています。
吹き付け塗装を選ぶ前にローラー塗装も含めて専門業者に相談しよう
吹き付け塗装には、施工スピードの速さやデザイン性の高さといった点が魅力です。
ただし、業者の技術力や周辺環境への配慮が求められる工法でもあります。
外壁の劣化を放置すると、雨漏りや構造材の腐食など重大なトラブルにつながる恐れがあります。
そのため、気になる症状があれば早めに専門業者へ相談することが大切です。
信頼できる業者であれば、現地調査や見積もりも丁寧に行い、住宅の状態に合った適切な提案をしてくれます。
どこに相談すべきか迷う場合は、地元で実績のある地域密着型の塗装業者を選ぶのがおすすめです。