FRPは住宅のベランダ防水やお風呂、公共施設にあるベンチなど多くの場所で使用されています。
ただし、長時間紫外線にさらされると表面が劣化したり色あせたりしてしまいます。
ベランダの床にひび割れがある、白っぽくなってきたなど、気になる症状が現れた場合は劣化しているサインです。
定期的な塗装をおこなうと見た目を美しく保てるだけではなく、防水性や耐久性を向上できます。
本記事ではFRPに塗装するメリット・デメリット、塗装方法を紹介します。
費用相場やDIYでの塗装がおすすめできない理由も解説しているため、参考にしてください。
FRPとは
そもそもFRPとは何かわからない方に、特徴を詳しく解説します。
あわせて、ほかの防水との違いも紹介するので参考にしてください。
FRPの特徴
FRPとは「Fiber Reinforced Plastics」の略称です。
日本語では「繊維強化プラスチック」と呼ばれ、防水材やお風呂などに幅広く利用されています。
FRPの最大の特徴は、軽量でありながら非常に高い強度がある点です。
プラスチックのもつ軽量性から加工がしやすく、さらに錆びたり腐ったりしません。
耐水性・耐食性に優れ、水回りや屋外での使用に適しています。
FRPとほかの防水との違い
FRP防水と一般的な防水工法の違いは、シームレスな防水層を形成できるところです。
たとえばシート防水は耐久性が高い一方で、複雑な形状には施工できず、シート同士で継ぎ目ができてしまいます。
FRP防水ならポリエステル樹脂を塗装して防水層を作るため、継ぎ目ができません。
さらにガラス繊維が内包されているFRP防水は、耐衝撃性と耐摩耗性に優れています。
FRPに塗装するメリット
FRPに防水塗装するメリットは下記のとおりです。
・軽量で強度が高い
・仕上がりに継ぎ目ができない
・衝撃に強く剥がれにくい
それぞれのよさを詳しく解説します。
軽量で強度が高い
FRP防水層の大きなメリットは軽量性と高い強度です。
プラスチックとガラス繊維からできているため、コンクリートなどに比べて非常に軽いという特徴があります。
住宅本体への負担を最小限に抑えられ、耐荷重に制限がある場所にもおすすめです。
さらに、ガラス繊維が内包されることで衝撃に対する耐久性にも優れています。
薄い層でも十分な強度を発揮できます。
仕上がりに継ぎ目ができない
FRP防水工事は、液状のポリエステル樹脂とガラスマットを現場で積み重ね、硬化させて防水層を形成します。
一般的なシート防水で生じるシート同士の継ぎ目ができず、全体が一体化したシームレスな仕上がりになります。
そのため、継ぎ目部分からの雨漏りのリスクはほとんどありません。
高い防水性を実現できるところがメリットです。
衝撃に強く剥がれにくい
硬化後のFRP防水層は非常に硬く、耐衝撃性や耐摩耗性に優れています。
人が頻繁に出入りするベランダやバルコニー、屋根などに使用しても摩耗による劣化が起こりにくい特徴があります。
物を落とした際の衝撃などにも比較的強いため、傷がつきにくい点もメリットです。
下地との密着性が高いことから、剥がれにくい防水層を形成できます。
FRPに塗装するデメリット
FRPに防水塗装するデメリットは下記のとおりです。
・ひび割れが発生しやすい
・費用が高くなりやすい
多くのメリットがある一方でデメリットもあるため、参考にしてください。
ひび割れが発生しやすい
FRP防水のデメリットのひとつに、ひび割れのしやすさがあげられます。
非常に硬くなるFRPは伸縮性が低めです。
温度変化や振動、地震などによる動きに追従しきれず、表面にひび割れが発生しやすい傾向にあります。
ひび割れは雨漏りの原因になるため、定期的な点検や塗装メンテナンスが必要です。
費用が高くなりやすい
FRP防水工事は、ほかの防水工法と比較して材料費や施工費が高くなりがちです。
主材料であるポリエステル樹脂や、ガラスマットが比較的高価な点が理由としてあげられます。
初期費用は高くなりますが、耐久性が高く耐用年数も長めのため、長期的なコストパフォーマンスはよいといえます。
FRP塗装の耐用年数
FRPの防水塗膜としての耐用年数は10〜25年ほどです。
5〜10年でトップコートを塗装し直すメンテナンスが必要です。
耐久性や耐候性に優れているFRPは耐用年数が長いという特徴があります。
ただし、経年劣化は避けられず長持ちさせるためにはメンテナンスが必須です。
定期点検をおこない、必要に応じて塗装や補修をするのがおすすめです。
FRP塗装の費用相場
防水工事には「ベランダ防水(ベランダの床部分の塗装)」と「屋根防水」の2種類あります。
ベランダの床部分を塗装する場合、FRP防水は4,000〜9,700円/平方メートルが相場です。
仕上げに必要なトップコート防水の費用は1,500〜2,500円/平方メートルです。
屋根防水の場合は6,000〜10,000円/平方メートルが費用相場といえます。
ただし、今回ご紹介した費用はあくまで目安です。
塗装する面積によっても異なるため、正確な費用を把握するには見積もりの依頼が必要です。
FRPの上に塗装するトップコートの種類
FRPの上に塗装するトップコートの主な種類は下記のとおりです。
・ウレタン系
・ポリエステル系
・フッ素系
それぞれの特徴を詳しく解説します。
ウレタン系
ウレタン系のトップコートは、アクリルウレタン樹脂が主成分です。
比較的安く、施工も難しくないため幅広く利用されています。
適度な伸縮性があることから下地の動きに対する追従性の向上が期待でき、FRPの硬さを補えるところが特徴です。
ただし経年劣化が避けられないため、定期的な塗り替えが必要です。
コストを抑えたい場合におすすめのトップコートといえます。
ポリエステル系
ポリエステル系はFRPとの相性がよく、密着性に優れています。
高い硬度と優れた耐摩耗性により、人が頻繁に出入りするベランダやバルコニーの利用に適しています。
ポリエステル系もウレタン系と同じく経年劣化が避けられません。
定期的にメンテナンスをおこない、塗り替えることで長持ちします。
フッ素系
フッ素樹脂を主成分とするトップコートの特徴は、耐候性に優れているところです。
紫外線などに対する耐久性が高いため、長くFRP防水層を保護し美観を維持できます。
汚れが付着しにくく、落としやすい点もメリットのひとつです。
ただし、ウレタン系やポリエステル系に比べて初期費用は高くなる傾向です。
塗り替え頻度は大幅に減らせるため、長期的なメンテナンスコストを抑えられる特徴があります。
FRPへの塗装方法
FRPへの基本的な塗装方法は下記のとおりです。
・表面の汚れを取り除く
・サンドペーパーや専用工具で表面を軽く削る
・溶剤で表面を拭き油分や削りカスを取り除く
・プライマーを塗布して乾燥させたら塗装する
・トップコートを重ね塗りする
まず、表面の汚れを除去したらサンドペーパーなどで表面を軽く削ります。
油分や削りカスを取り除き、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布します。
十分に乾燥させたら塗装し、最後にトップコートを塗布して完成です。
FRPにDIY塗装をおすすめできない理由
FRPにDIYで塗装を考えている方がいるかもしれませんが、下記の理由からおすすめできません。
・状況が悪化するおそれがある
・十分に機能を発揮できない可能性がある
・出費がかさむ場合がある
それぞれの理由について詳しく解説するため、DIYを検討している方は参考にしてください。
状況が悪化するおそれがある
FRP防水のトップコート塗装には、適切な下地処理が不可欠です。
DIYで下地処理がうまくいかなかった場合、塗料が密着せずすぐに剥がれる可能性があります。
さらにFRPに適さない塗料を選んでしまうと、防水層自体を傷めてしまうおそれもあり危険です。
経験不足の場合は塗りムラをまねき、部分的な劣化につながることも考えられます。
雨漏りのリスクを高めることにつながるため、FRPへの塗装経験がない方は信頼できる業者へ依頼するのがおすすめです。
十分に機能を発揮できない可能性がある
FRP防水は紫外線や雨風から防水層を守る役割を果たしています。
DIYによって塗料が均一に塗布できなければ塗膜が薄くなり、十分な防水機能を発揮できない可能性があります。
そのほか乾燥時間が不十分だと塗料が密着せず、早期に劣化するかもしれません。
本来発揮される耐久性や防水機能が得られないと、雨漏りのリスクが高まってしまいます。
出費がかさむ場合がある
工事費用を抑えるためにDIYを考える方がいますが、結果的に高くつくケースも少なくありません。
塗装に必要な道具、適切な塗料や下塗り材を一式そろえるだけでも、ある程度の費用が必要です。
もし施工に失敗し、早期に剥がれやひび割れなどの不具合が発生した場合、結局は専門業者に再施工を依頼することになります。
失敗した塗装の除去費用などが上乗せされれば、かえって高額になる可能性もあります。
塗装の経験がない、DIYに不安がある方は無理しておこなわずに業者へ依頼してください。
定期的な塗装でFRPの劣化を予防しよう
FRPは軽量なうえに強度が強く、水回りや屋外などさまざまな場面で使用されています。
仕上がりに継ぎ目ができずシームレスのため、雨漏りのリスクを抑えられます。
加工のしやすさから、屋根やベランダの形状に合わせて隙間なく施工可能です。
ただし硬いためにひび割れしやすかったり、材料費が高く高額になったりする可能性があります。
紫外線などの外的ダメージによって経年劣化するため、定期的にメンテナンスし機能性を維持することが大切です。