60坪の住宅の外壁塗装を検討する際に気になるのが、相場ではないでしょうか。
60坪と外壁面積が大きい場合、材料費や足場仮設費などひとつひとつの項目が一般的な住宅の相場よりも高額です。
そこで本記事では、60坪の住宅で外壁塗装する際の相場や安くする方法を解説します。
工程や項目別の単価も紹介するため相場を把握しておきたい場合はもちろん、見積もりの妥当性を確かめたいときもぜひお役立てください。
60坪の住宅の外壁塗装の相場は120~200万円
延べ床面積が60坪の住宅を外壁塗装する際の費用相場は、120~200万程度です。
費用相場をチェックする際には、延べ床面積と建坪面積の違いに注意しましょう。
延べ床面積は各階数の床面積の合計で、建坪面積は家が建っている敷地面積を指します。
2階建ての住宅で1階と2階の床面積が同じ場合、延べ床面積は建坪面積の2倍になるため間違えないように注意してください。
外壁塗装の費用内訳
外壁塗装にかかる費用の内訳は以下のとおりです。
・塗料などの材料費:20~30%
・足場仮設費:20%
・施工費および人件費:30%
・その他:20~30%
施工費には、養生・高圧洗浄・シーリング補修・付帯部(軒天や雨樋など)の塗装が含まれます。
その他は手数料・作業員の交通費・廃材処分費など、見積もり書では「諸経費」と記載されているケースが多いです。
見積もりを依頼した際、上記の比率よりも極端に多いまたは少ない項目がある場合は詳細を確認しましょう。
【外壁塗装の工程・項目別】平米単価と60坪換算の相場
外壁塗装の工程・項目別の平米単価から60坪住宅の費用を算出するために、まず60坪の住宅の外壁面積(平米数)を計算する方法を紹介します。
計算式は以下のとおりです。
外壁面積(平米)=延べ床面積(坪)×3.3(1坪当たりの平米数)×1.2(外壁面積の算出時の係数)
よって、延べ床面積が60坪の外壁の平米数は「60坪×3.3×1.2=約237.6平米」です。
ここからは60坪の住宅の外壁面積を「238平米」として、以下の外壁塗装に付随する費用内訳別の相場を紹介します。
・塗料
・足場仮設
・飛散防止シート
・養生
・高圧洗浄
・その他の施工
順に見ていきましょう。
塗料
塗料の種類別の単価は以下のとおりです。
なお()内は60坪換算した場合の費用相場になります。
・ウレタン塗料:平米単価1,600〜2,500円(約38~60万円)
・シリコン塗料:平米単価1,800〜3,500円(約43~83万円)
・フッ素塗料:平米単価3,000〜5,000円(約71~119万円)
・無機塗料:平米単価3,500〜5,000円(約83~119万円)
耐用年数が短い塗料の方が費用は安いですが、頻繁な塗り直しが必要です。
外壁塗装における塗料別の耐用年数は以下を参考にしてください。
・ウレタン塗料:5〜10年
・シリコン塗料:7〜15年
・フッ素塗料:12〜20年
・無機塗料:18〜20年
上記はあくまでも外壁に使用する際に耐用年数で、屋根の場合は2~6年ほど短くなります。
足場仮設
足場仮設の平米単価は700~1,200円が相場になります。
足場の面積は「外壁面積×1.3」で計算するため、60坪(238平米)の足場面積は238×1.3=309.4平米です。
よって上記の計算式に当てはめると、60坪の外壁塗装に必要な足場仮設費は約22~37万円が相場となります。
飛散防止シート
飛散防止シートの平米単価は150~400円、60坪の場合は約46,000~124,000円です。
飛散防止シートは足場にかけるため、60坪で必要な面積は足場と同じ309.4平米で計算します。
飛散防止シートの役割は、近隣住居や近くに停まっている車などへの塗料や高圧洗浄の水の飛散を防止することです。
また足場の上から工具などを落としたときに歩行者や車に当たるのも防げます。
養生
養生の平米単価は200~300円、60坪の場合は約48,000~71,000円が相場です。
養生とは、塗装の際に塗料が付いてはいけない部分をシートやテープなどで覆う作業を指します。
あえてシートやテープにはみ出して塗装することで、きれいな直線を表現することも可能です。
高圧洗浄
高圧洗浄(水道水)の平米単価は200~350円、60坪の場合は約48,000~83,000円です。
高圧洗浄は、塗装の前に高圧の水が噴射する高圧洗浄機を使って、外壁の汚れ・剥がれた塗膜・コケなどを洗い流します。
塗料のノリがよくなったり塗りむらを防げたりと、きれいに仕上げるために重要な作業です。
その他の施工
その他の施工のひとつにシーリング補修があります。
補修方法は以下の2種類です。
・シーリング打ち替え:1平方メートル当たり700~1,200円
※既存のシーリング材を撤去してから新しいシーリングを注入する
・シーリング打ち増し:1平方メートル当たり500~1,000円
※既存のシーリングの上から新しいシーリング材を重ねて注入する
シーリングは接着剤のような役割があり、塗装前にサイディングのつなぎ目などに施工され防水性や気密性を高めます。
60坪の外壁塗装が相場より高くなるケース
以下3つのケースに該当する場合、60坪の外壁塗装の費用が相場より高くなることがあります。
・3階建て以上の高層住宅や狭小住宅である
・外壁の状態が悪く補修が必要である
・見積もりが不明瞭な業者に依頼する
順に紹介します。
3階建て以上の高層住宅や狭小住宅である
3階建て以上の高層住宅は高い場所に足場を仮設しなければいけないため、足場仮設費が高くなる傾向があります。
また狭小住宅も足場を仮設するスペースを取りにくく足場仮設の難易度が高いことから、費用が上がりやすいです。
足場仮設の費用割合は材料費と同程度である20%を占めていることから、外壁塗装の工事費に大きな影響を与えます。
外壁の状態が悪く補修が必要である
外壁の状態が悪いと、塗装前に補修しなければいけません。
必要な補修の範囲が広いなど大がかりな工事になるほど、補修費が高くなります。
塗装費用が心配だからといって塗装工事を先延ばしすると、費用がかさんでしまうのです。
外壁の劣化が気になる場合は、早めに塗装工事を検討しましょう。
見積もりが不明瞭な業者に依頼する
見積もりが不明瞭な業者に外壁塗装を依頼すると、相場よりも高くなることがあります。
たとえば見積もりの項目に「一式」や「その他」といった曖昧な表現があるなどです。
何に対する費用が見積もりに含まれているのか明確に把握していないと、追加費用を徴収されて相場よりも高くなることがあるため注意しましょう。
60坪の外壁塗装を相場よりも安くする方法
60坪の外壁塗装を相場よりも安くしたい場合は、以下3つの方法を検討しましょう。
・補助金や助成金を活用する
・単価の低い塗料を採用する
・地元密着型で自社施工の業者に依頼する
以下で詳しく紹介します。
補助金や助成金を活用する
外壁塗装は補助金や助成金の対象になっていることがあります。
とくに遮熱性の高い塗料を使うなど、省エネにつながる塗装は補助金や助成金を使える可能性が高いです。
補助金や助成金は制度によって条件や申請期間が異なるため、詳細は管轄の自治体に確認しましょう。
単価の低い塗料を採用する
60坪と塗装面積が大きな住宅の場合、少しの塗料単価の違いでも費用が大きく跳ね上がります。
塗料の単価は耐用年数が長いほど高額です。
耐用年数が長い塗料は塗り替え頻度が少なくなりますが1回の塗装費用が高くなるため、どこまでの耐久性を求めるのか業者と相談して決めましょう。
地元密着型で自社施工の業者に依頼する
地元密着型で自社施工の業者に依頼するのも、相場よりも安く外壁塗装する方法のひとつです。
地元密着型の業者なら広告費や出張費がかからない(または抑えられる)ため、塗装費用が安くなる傾向があります。
また自社施工の業者なら中間マージンがかかりません。
「地元密着型」や「自社施工」であるかは業者のホームページなどで調べられます。
60坪の外壁塗装は相場を把握して信頼できる業者に依頼しよう
60坪の外壁塗装の費用相場は、120~200万円程度です。
塗装費用は、塗料の単価・劣化の程度・足場設置の難易度などにより変わります。
相場より安く外壁塗装するには、補助金や助成金を活用したり地元密着型で自社施工の業者に依頼したりするのが有効です。
業者に見積もりを依頼した際に不明瞭な項目がある場合は、詳細を確認しておかないと追加費用の発生などのトラブルに発展するため注意してください。
60坪の外壁塗装は少しの単価の違いが大きな金額の差になります。
相場を把握し信頼のおける業者に依頼しましょう。