「トタンの外壁をリフォームしたいけれどデメリットはある?」
「トタンの外壁をリフォームする費用はどのくらい?」
トタン外壁のリフォームを検討している方は、上記のような疑問を持つことが多いでしょう。
トタンとは亜鉛が表面に加工された鋼板「亜鉛メッキ鋼板」のことです。
トタンは金属にも拘わらず錆びにくく、メンテナンスを怠らなければ10~20年程度持つことから古くから人気があります。
しかし近年は、見た目が似ていてより高性能な「ガルバリウム鋼板」が主流です。
混同されやすいですが、本記事では亜鉛メッキ鋼板の、昔ながらの「トタン」の種類やリフォーム費用を紹介します。
ガルバリウム鋼板との違いについても触れるため、トタン外壁のリフォームを悩まれている方はぜひ参考にしてください。
トタン外壁の種類
トタン外壁は、大きく下記の4種類に分けられます。
・波トタン
・角波トタン
・リブ波トタン
・スパンドレルトタン
上記4種類のトタン外壁のデザインや強度など、特徴を見ていきましょう。
波トタン
トタンと聞いて、イメージしがちなのが波トタンです。
波トタンは、名称のとおりカーブを描いて波打っている形状で、波部分のピッチ・谷の深さ・幅などが異なる大波と小波があります。
波型のため塗装しやすいですが、横(波に対して垂直方向)からかかる圧力には弱く耐久性が低いのが特徴です。
角波トタン
角波トタンは、角ばった凹凸が連続しているようなデザインです。
波トタンとは違い、平らな面が多いことから、横からの圧力にも強くなっています。
波トタンよりも耐久性が高いことから、工場や店舗の外壁などに使われることが多いです。
角波トタンは角が多いため、塗装時に「塗りムラ」が生じやすく、作業を行う際は丁寧さが求められます。
リブ波トタン
リブ波トタンは、角波トタンの凹凸の凸部分の幅が極端に狭くなっており、板を縦に並べたような見た目をしています。
リブ波トタンは1枚のサイズが小さく、複数枚をつなげて施工するため部分交換が可能です。
また凸部分を重ねてつなげることで、雨漏りが発生しにくいというメリットもあります。
スパンドレルトタン
スパンドレルトタンは角波トタンと外観が似ていますが、両端の特殊な折り曲げ方により固定用のビスや釘が見えなくなっているのが特徴です。
ビスや釘が隠れていることでデザイン性が高いうえ、雨漏りもしにくいため天井はもちろん外壁にも人気があります。
強度や耐久性も高いため、安心して使えます。
トタン外壁のメリット
昨今は新たに使われることの少ないトタンですが、古くから人気がある理由としては、以下のようなメリットが挙げられます。
・安価に施工できる
・耐久性に優れている
・軽いため耐震性が高い
順に見ていきましょう。
安価に施工できる
トタン外壁はほかの外壁材よりも安価に施工できます。
トタンの単価は700~3,000円/平方メートルと、ほかの外壁材の単価よりも安価になっています。
さらにトタンは軽くて扱いやすいため、施工期間が短く済みます。
耐久性に優れている
トタンは亜鉛が加工されていることで、金属でありながら錆びにくく耐久性が優れている外壁材です。
適切にメンテナンスしていれば10~20年程度もちます。
お手頃価格で耐久性にも優れているため、コストパフォーマンスがよいです。
軽いため耐震性が高い
トタンは軽量な外壁材のため、トタン外壁の住宅は耐震性が高いのもメリットです。
屋根や外壁が重いと住宅への負担が大きくなり、耐震性が損なわれます。
耐震性を向上させるためにトタン外壁は有効ですが、屋根が重ければバランスがとれません。
耐震性の向上を目指すのであれば、外壁だけでなく屋根や住宅の構造など総合的に考える必要があります。
トタン外壁のデメリット
コストパフォーマンスのよいトタン外壁ですが、事前に知っておきたいデメリットもあります。
トタン外壁のデメリットは以下4つです。
・夏に暑さを感じやすい
・ほかの外壁材に比べて錆びやすい
・外壁に雨や雹などが当たると音が響きやすい
・張り替え時の外壁材が制限される
順に紹介します。
夏に暑さを感じやすい
トタンは金属のため、熱が伝わりやすいです。
気温が高くなる時期や直射日光が当たる面は、外壁自体が高温になります。
外壁の温度が上がると室内も暑くなるため、夏に暑さを感じやすいです。
暑さに弱い方は、遮熱塗料でトタン外壁を塗装するなどの対策が必要になるでしょう。
ほかの外壁材に比べて錆びやすい
トタン外壁は亜鉛による表面の加工により錆びにくくはなっているものの、素材の性質上しっかりメンテナンスしないと錆びてしまいます。
「トタン外壁にモノがぶつかってキズができている」
「経年により塗膜が剥がたところが雨水にさらされている」
このような状況を放置していると、亜鉛メッキが剥がれて錆びやすくなるため注意しましょう。
外壁に雨や雹(ひょう)などが当たると音が響く場合がある
トタン外壁は、金属特有の音の響く場合があるのもデメリットです。
雨や雹、小石などがトタン外壁に当たる音は室内にいると聞こえることもあります。
もし音が気になる場合は、吸音材や遮音塗料などを活用して騒音対策を行いましょう。
カバー工法で利用できる外壁材が制限される
トタン外壁の上にほかの外壁材に張り替える「カバー工法」を実施する場合、使用できる外壁材の選択肢が少なくなります。
トタンは軽量な外壁材のため、ほかに重量のある外壁材を使用してカバー工法は行えません。
トタン外壁を張り替えるときは、ガルバリウム鋼板など軽量な外壁材を選ぶ必要があります。
混同されやすいトタンとガルバリウム鋼板の違い
混同されやすい「トタン」と「ガルバリウム鋼板」の違いを理解しておきましょう。
トタンは鋼板の表面に亜鉛が加工されているものですが、ガルバリウム鋼板は亜鉛・アルミ・シリコンが表面に加工されています。
アルミとシリコンが加わっていることで、錆びや腐食に強いです。
耐用年数も20~35年と長いため、今はトタンの代わりにガルバリウム鋼板が使われるのが一般的になっています。
ガルバリウム鋼板をトタンと呼ぶ方もいますが、異なる外壁材のため注意しましょう。
トタン外壁とほかの外壁材の単価比較
トタン外壁とほかの外壁材の単価は以下のとおりです。
・金属系サイディング(トタン):700~3,000円/平方メートル
・金属系サイディング(ガルバリウム鋼板):1,500~7,000円/平方メートル
・窯業系サイディング:3,000~6,000円/平方メートル
・樹脂系サイディング:4,000~10,000円/平方メートル
・木質系サイディング:5,000~9,000円/平方メートル
トタンは平米単価700円~と手ごろな価格になっています。
ガルバリウム鋼板の費用の幅が広いのは、縦葺きや横葺き・断熱一体型など種類が豊富にあるためです。
トタン外壁の塗装および張り替え費用
トタン外壁の塗装メンテナンスと張り替えの費用は以下のとおりです。
・トタン外壁の塗装費用(30坪程度の住宅):70〜110万円/平方メートル
・トタン外壁の張り替え費用:1,500~10,000円/平方メートル
トタン外壁の場合、既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねると錆が広がりやすいです。
したがってリフォームするときは既存の外壁を撤去してから張り替えます。
トタン外壁と間違われやすいガルバリウム鋼板へのリフォーム費用
トタン外壁にガルバリウム鋼板を活用した外壁リフォームする際にかかる費用目安は、以下のとおりです。
・張り替え:100~360万円
・カバー工法:120~255万円
カバー工法とは、既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねる工法です。
張り替えより費用を抑えられますが、トタン外壁の劣化が進行していると実施できません。
トタン外壁の修理が必要な劣化状況
トタン外壁の種類が必要な劣化状況を紹介します。
・チョーキング現象が発生している
・錆びが生じている
・変形している
チョーキング現象とは、触ると白い粉のような物質が指に付く現象のことで、塗料が劣化しているサインです。
塗料が劣化し剥がれたところからトタンの腐食が進むため、塗り替えを検討しましょう。
少しの錆でも放っておくと一気に錆が広がり、穴があいてしまいかねません。
錆の除去と塗装で対策しましょう。
また、軽くて扱いやすいトタンは変形しやすいです。
変形したところは亜鉛メッキが剥がれやすくなるため、早めの修理をおすすめします。
トタン外壁について理解したうえで修理を行おう
安価で耐久性に優れているトタン外壁は、古くから多くの住宅で使われてきた外壁材です。
トタンは錆びにくい外壁材ですが、塗料の劣化やキズなどによる錆は避けられません。
錆びは一度発生すると広がりやすいため、気になる劣化症状が見られたときは早めに専門業者へ相談して点検してもらいましょう。
近年はトタンの代わりに、より錆びにくく耐久性が高いガルバリウム鋼板を選ぶ方が増えています。
それぞれの特徴を理解して外壁のリフォームを行いましょう。