軒天は、屋根の外壁から突き出た部分の裏側に取り付けられた板状の部材です。
常に外気や湿気にさらされるため、経年劣化や破損が避けられません。
劣化を放置すると雨漏りや下地材の腐食につながり、結果的に大がかりな修理が必要になることもあります。
本記事では、軒天修理の費用相場や費用を抑えるための方法、信頼できる業者を見極めるポイントを紹介します。
軒天修理の修理を検討している、費用が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
軒天修理の工法別費用相場
軒天の修理方法には、劣化の度合いに応じて以下の工法があります。
・塗装
・重ね張り(カバー工法)
・張り替え
修理費用は、工事の規模や対象となる面積によって変動します。
高所作業の場合は、安全確保のために足場を設置する必要があり、追加費用として発生する点に注意が必要です。
それぞれの修理方法の費用相場を紹介します。
軒天の塗装
軒天の塗装は、変色やカビ、汚れなど軽度の劣化に対応する方法です。
修理費用は3〜15万円ほどで、劣化の程度により金額が変わります。
軒天自体が使用可能な状態であれば、耐水性や防カビ性能のある塗料を塗布することで、美観を回復させつつ防水性や耐久性を高められます。
ただし、塗膜の剥がれを放置すると雨水の浸入や下地材の腐食を招く恐れがあるため、早めの対応が大切です。
広範囲で傷みが進んでいる場合には、塗装だけでは不十分で、全面的な修理を検討する必要があります。
重ね張り(カバー工法)
重ね張りは、既存の軒天を撤去せず、その上から新しい材料を張る工法です。
修理費用は12〜25万円程度(※足場代別)で、撤去費用が不要なため工期が短く、比較的リーズナブルに依頼できます。
ただし、既存の下地材が腐食している場合は、重ね張りをしても根本的な解決にはならないため張り替えがおすすめです。
張り替え
張り替えは、既存の軒天をすべて撤去し、新しい材料に交換する工法です。
修理費用は15〜50万円程度(※足場代別)と高めですが、下地材の腐食や雨漏りなどの問題にも対応できます。
初期費用はかかりますが、耐久性が向上し、建物の寿命を延ばす効果が期待できます。
軒天修理にかかる費用の内訳
軒天の修理費用は、工事費と足場代、諸経費の3つで構成されます。
一般的に工事費に含まれている費用は、以下の項目です。
・軒天材や塗料の単価
・職人の人件費
・既存軒天の解体や撤去費用など
工事の規模や建物の状態によって必要な作業工程が異なるため、実際の金額は物件ごとに変動します。
また、耐久性や防火性が優れているグレードの高い材料を使う場合は、費用が高くなる傾向があります。
足場代は高所作業の安全を確保し、丁寧な施工を行うために欠かせません。
一般的に高さ2メートル以上の場所で作業する場合、足場の設置が必要です。
足場を組むかどうかによって総費用は変わるため、見積もり時に必ず確認しましょう。
諸経費は業者の交通費や廃材処分費、事務手数料などが含まれます。
軒天修理の費用を抑えるコツ
軒天の修理費用は、工事方法や条件によって変わりますが、工夫次第で出費を抑えることも可能です。
・火災保険を利用する
・補助金や助成金が活用できないか検討する
・軒天と他の修理をまとめて行う
それぞれの具体的な方法を解説します。
火災保険を利用する
軒天の破損が台風や強風、雪害など自然災害によって発生した場合、火災保険で補償を受けられる可能性があります。
火災保険は火事だけでなく、風災や雪災、雹災なども対象に含まれている場合があります。
ただし、経年劣化や施工不良による損傷は補償外となるため注意が必要です。
申請を検討する際は、ご自身の契約内容が対象かどうかを確認しましょう。
申請時には被害箇所の写真や修理見積書が必須で、保険会社指定の鑑定人による現地確認も行われます。
補助金や助成金が活用できないか検討する
一部の自治体では、住宅の維持管理や耐震、省エネ化を目的としたリフォームに対し、補助金や助成金を支給しています。
条件を満たせば、工事費用の一部を負担してもらえるため、家計の負担軽減につながります。
対象となる工事内容や補助率、上限額は自治体ごとに異なり、申請には見積書や工事計画書、報告書などが必要です。
申請期限や条件を逃さないためにも、自治体の公式サイトなどを通じて早めに情報を収集しておくと安心です。
軒天と他の修理をまとめて行う
軒天修理は高所作業となる場合が多く、足場の設置が必要です。
足場は工事費全体の20%前後と、費用面で大きな割合を占めます。
外壁塗装や屋根工事など他の高所作業と同時に行えば、足場を共用でき、その分費用を抑えられます。
一度に複数の工事を終えることで、工期短縮やスケジュールの効率化も可能です。
ただし、工事範囲が広がることで総額が高くなる場合もあるため、全体予算とのバランスを考えて判断することが大切です。
軒天の必要性と修理が必要な理由
軒天は、建物を長く快適に保つために欠かせない部材です。
屋根の端部分を覆うことで、雨水や風の吹き込みを防ぎ、屋根裏や下地材が濡れて腐食するのを防止します。
万が一火災が発生した場合でも、外壁や屋根から火が屋根裏へ回り込むのを防ぎ、被害の拡大を抑える役割も果たします。
外壁や屋根との境目を覆うことで外観が整い、建物全体のデザイン性を高める効果が期待できる点も特徴です。
一方で、軒天は常に風雨や紫外線にさらされるため、経年劣化しやすい部材でもあります。
塗装の剥がれやひび割れなどを放置すると、雨漏りや木材の腐食を引き起こし、建物全体の耐久性に影響を及ぼすリスクが高いです。
軒天は、定期的な点検と異常が見られた場合の早期修理が欠かせません。
早めの対応によって、建物全体の寿命を延ばし、長期的な修理費用を抑えられます。
軒天修理の費用を抑えるためにDIYするのは危険
軒天の修理は、一見すると材料と道具があれば自分でできそうに思えますが、安全性と仕上がりの観点からDIYは危険です。
軽度なシーリング補修など一部の作業であれば可能な場合もあります。
しかし、高所作業は脚立や足場の使用が必要になり、転倒や落下のリスクが常につきまといます。
特に作業に慣れていない方の場合、小さなミスが重大な事故につながる可能性が高く、安全面でのリスクは無視できません。
また、軒天の表面だけを見て判断するのは危険です。
内部の下地材や構造部が腐食している場合、外見では劣化の程度が分からず、適切な施工方法を選べないことがあります。
補修後すぐに不具合が再発し、結局は業者による再施工が必要となることも多いです。
安全面や耐久性、長期的なコストを考えると、業者に依頼する方が安心かつ経済的といえます。
軒天修理業者選びで確認したいポイント
軒天修理を安心して任せるためには、費用の安さだけでなく、以下のポイントを確認しましょう
・施工実績・口コミ評価
・見積書の明細
・保証内容
それぞれのポイントを解説します。
施工実績・口コミ評価
公式サイトやパンフレットに掲載された過去の施工例や写真を確認し、自宅と同じような規模や工法の実績があるかをチェックしましょう。
Googleマップや口コミサイト、SNSなどを活用して、実際に依頼した人の評価や体験談を調べることもおすすめです。
施工の仕上がりやスタッフの対応、アフターフォローの有無など公式情報だけでは分からない生の声が得られます。
見積書の明細
見積書は、業者の透明性を測る大切な資料です。
材料のメーカー名や品番、数量、下地処理の内容、塗装回数など具体的な工程や使用資材が明確に記載されているか確認しましょう。
「軒天修理一式」のような曖昧な表記だと、どの作業にどれだけの費用がかかっているのかが分かりにくくなります。
認識のずれが起こった結果、予期せぬ追加請求につながる恐れがあります。
不明な点があれば、必ず契約前に質問し、納得してから進めることが大切です。
保証内容
軒天の修理後の保証内容も忘れずに確認しましょう。
保証期間や対象範囲、免責事項などを事前に文書で提示してもらうことが望ましいです。
「施工後5年間、塗膜の剥がれを無償修理」のような具体的な記載があれば、施工後の安心感が高まります。
口頭説明のみでは、後々トラブルになる可能性があるため注意が必要です。
軒天修理の費用を把握して早めに施工を依頼しよう
軒天の修理費用は、工法の種類や劣化範囲、足場の有無などによって変動します。
軽度な劣化であれば数万円程度に収まりますが、全面的な張り替えが必要になると数十万円にまで膨らむことも珍しくありません。
軒天の修理費用の相場を事前に把握すれば、計画的に工事を進められ、無駄な出費を抑えられる可能性があります。
劣化が進むほど修理が大がかりになり、費用が高額になりがちです。
軒天の劣化が進む前に、早めに信頼できる業者に施工を依頼しましょう。