ベランダからの雨漏りは、外壁の内部構造にも影響を与える深刻なトラブルです。
被害の範囲や原因によって修理費用も大きく異なるため、修理を依頼する際は事前の情報収集が重要です。
本記事では、ベランダの雨漏りを修理する方法や費用相場などをご紹介します。
修理費用を抑えるのに役立つ保険や助成金制度の情報も解説しますので、ぜひお役立てください。
【修理内容別】ベランダの雨漏り修理に必要な費用相場
ベランダからの雨漏り修理にかかる費用は、被害の範囲や修理内容の規模によって大きく変動します。
今回費用相場をご紹介するのは以下の修理方法です。
・防水工事
・排水溝の清掃や交換
・シーリングの補修
・笠木の補修・交換
それぞれの相場について詳しく解説していきます。
防水工事
ベランダの雨漏り対策として最も一般的なのが防水工事です。
防水層にはウレタンやFRP、シート防水などの種類があり、使用する材料や施工方法によって費用が変動します。
防水工事と同時にトップコートを塗布するのが一般的です。
以下は、防水工事の種類別に見たおおよその単価です。
・ウレタン防水:3,000〜9,500円/平方メートル
・FRP防水:4,000〜9,500円/平方メートル
・シート防水:2,500〜12,000円/平方メートル
・トップコート:1,000〜3,000円/平方メートル
ベランダの大きさや形状などによって、費用は前後します。
排水溝の清掃・交換
排水溝の詰まりによって水が滞留し、雨漏りにつながるケースもあります。
排水溝の詰まりには高圧洗浄機などを使ったクリーニングで対応できることが多く、比較的安価に済ませることが可能です。
・排水溝の清掃費用:8,000〜20,000円程度
・排水溝の修理・交換費用:2〜15万円程度
清掃で済むか、部品の交換まで必要になるかで費用は大きく変わります。
排水機能に異常が見られる場合は、早めに点検を依頼することが重要です。
シーリングの補修
シーリング(コーキング)は、防水性を保つためにベランダの継ぎ目や笠木、手すり周辺などに使われています。
シーリングの経年劣化でひび割れや剥がれが起きると雨水が浸入しやすくなるため、定期的な補修が必要です。
シーリング打ち替え費用の目安は補修が必要な長さや範囲によって異なり、2〜20万円程度となっています。
笠木の補修・交換
笠木はベランダ手すりの上部にある部材で、外壁内部への浸水を防ぐ重要な役割を担っています。
劣化が進むと雨漏りの原因になるため、状況に応じて補修や交換を行う必要があります。
笠木の損傷が軽微であれば、数千円程度で補修できます。
中まで水が浸入して腐食しているようなケースでは交換工事が必要となり、3〜25万円程度の費用が発生します。
笠置交換の費用は、交換する部分の長さによっても変動します。
ベランダの雨漏り修理にかかる費用が変動する要因
ベランダの雨漏り修理にかかる費用は、被害の状況や施工条件によって大きく変動します。
FRP防水やシート防水など、防水工事の工法によって材料や耐用年数などが異なるため、コスト面に差が出ます。
同じような面積・工法でも劣化の度合いや下地の状態などによって作業工程が変わり、見積もり金額も大きく変わるのが一般的です。
建物の構造が複雑な場合や、足場の設置が必要な場合も費用に影響します。
そのため、見積もりが修理内容ごとの相場より明らかに高い・安い場合は、業者に費用の根拠を確認するのがおすすめです。
ベランダの雨漏り修理にかかる費用を軽減するのに役立つ保険や助成金
雨漏り修理は予期せぬ出費になることもありますが、条件を満たせば保険や補助金を利用できる場合があります。
制度を有効活用できれば、費用負担を抑えられる可能性があります。
ただし、保険や保証・助成金は条件次第で使えないこともあるので、施工業者やホームページなどで事前確認を行っておきましょう。
瑕疵担保責任
新築住宅には、引き渡しから10年間の「瑕疵担保責任」が義務付けられています。
瑕疵担保責任期間中に構造上の欠陥が原因で雨漏りが発生した場合、施工会社は無償での補修義務が生じます。
築年数や保証書・契約書を確認し、対象になりそうであれば施工会社に相談しましょう。
火災保険
火災保険は火災だけでなく、台風・豪雨・積雪などの自然災害による被害にも対応しているケースがあります。
これらの災害が原因でベランダが損傷し雨漏りにつながった場合には、修理費用が保険から補償される可能性があります。
保険適用には被害状況を記録した写真や、施工業者による診断書の提出が必要となるケースもあります。
自然災害によるトラブルが発生したら早めに準備しておくと安心です。
国や自治体の補助金制度
国や各自治体では、住宅の性能向上や防災対策を目的とした改修工事に対して、補助金を支給している場合があります。
雨漏り修理が補助金支給対象の条件として認められれば、補助金を活用して負担を軽減することが可能です。
補助金の内容や対象条件、申請方法は自治体ごとに異なるため、事前に公式サイトや窓口で確認しましょう。
補助制度の多くは「工事前の事前申請」が必要となるため、着工前に調べておくことが大切です。
ベランダの雨漏りが起きる主な原因と修理方法
ベランダで発生する雨漏りは、気づかないうちに進行し、建物の構造部分にまで影響を及ぼすことがあります。
防水層の劣化や排水口の詰まり、シーリング材のひび割れなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っているケースも少なくありません。
ここでは、主な原因とそれぞれに適した修理方法についてご紹介します。
防水層の劣化
ベランダの床面には、防水層という雨水の浸入を防ぐ層が施工されていますが、経年劣化によって徐々に機能が低下していきます。
防水層表面の塗装が剥がれると直接水が染み込みやすくなるので、雨漏りの原因になりかねません。
防水層にはウレタン・FRP・シートなどいくつかの種類があり、それぞれ耐用年数やメンテナンス周期が異なります。
たとえばFRP防水の耐用年数は約10〜25年とされていますが、その性能を維持するには5〜10年ごとにトップコートの塗り直しが必要です。
トップコートが劣化すると紫外線の影響を受けやすくなり、防水層自体の劣化を早める原因にもなるため、定期的な点検とメンテナンスが重要です。
排水口の詰まり
ベランダには排水用のドレン(排水口)が設けられていますが、ここに枯れ葉や土埃が溜まると、水の流れが悪くなり排水不良を起こすことがあります。
水が流れなくなるとベランダに水たまりができ、隙間や劣化した箇所から水が浸入することで、雨漏りを引き起こす原因になります。
こうした事態を防ぐためには、定期的な排水口の清掃が不可欠です。
簡単な清掃だけでも雨漏りリスクを大きく下げられるため、普段から意識して点検・メンテナンスを行うことが大切です。
シーリング材のひび割れ・剥がれ
シーリング材(コーキング)は、外壁やベランダの継ぎ目、手すり周辺などに使われる防水用の充填材です。
シーリングは紫外線や雨風の影響で年数が経つにつれ硬化し、ひび割れや剥がれといった劣化が現れます。
劣化した部分から雨水が入り込むと、壁内部の木材や断熱材が腐食するなど、建物に深刻なダメージを与える恐れがあります。
補修の際は古いシーリングをしっかり剥がし、再充填する「打ち替え工事」が必要です。
笠木の破損や施工不良
笠木がずれたり経年劣化で隙間ができたりすると隙間から雨水が浸入し、内部の構造材にまで水がまわってしまうことがあります。
笠木まわりの立ち上がり部分に防水処理が十分されていないなどの施工不良も、雨漏りの原因になります。
防水構造全体を見直すような改修工事が必要になることもあるため、専門業者による適切な点検と対応が必要です。
ベランダの雨漏り修理を依頼する業者選びのポイント
ベランダの雨漏り修理は、原因の特定や適切な工法の判断など専門性が求められる工事です。
せっかく業者に依頼して工事を行っても、不具合が改善されなければ意味がありません。
業者を選ぶ際は、以下のポイントを確認するのがおすすめです。
・ベランダの雨漏り修理の施工実績が豊富で公開しているか
・見積もりが明確で丁寧に説明してくれるか
・保証制度やアフターサービスはあるか
・地域密着型の業者かどうか
・口コミやネットの評価など第三者からの評価が高いか
上記のようなポイントをチェックし、安心して任せられるかどうかを判断したうえで、信頼できる業者を選びましょう。
ベランダの雨漏りは早期修理を行い費用もリスクも最小限に抑えよう
ベランダの雨漏りは放置すると被害が広がり、修理費用も高額になりがちです。
費用を抑えるには早期発見と適切な対処、信頼できる業者選びがなにより大切です。
費用の目安を知り保険や補助制度をうまく活用できれば、負担を抑えつつ安心して工事を進められます。
今回の記事を参考に、後悔のない修理を実現してください。