外壁リフォームは建物の保護のみならず、資産価値の維持や向上、美観の回復につながる重要なメンテナンスです。
しかし、いざ実施するとなると「本当に必要なのだろうか」「自分の家にはどんな手法が適切なのか」と悩む方は少なくありません。
本記事では、外壁リフォームの必要性を見極めるポイント、主な工事の手法や特徴などを、プロの視点で分かりやすく説明します。
費用相場や自分でやる場合のリスク、信頼できる業者選びのコツなども解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁リフォームの必要性を見極めるポイント
外壁リフォームは、外壁の劣化が進行する前に実施するのが効果的です。
とはいえ、どのような状態を劣化と判断すればよいのか、見極めが難しいという声は少なくありません。
外壁リフォームが必要かどうかを判断するポイントとして、一般的な劣化のサインについて説明します。
外壁塗料や外壁材が耐用年数を超えている
外壁の塗料には、耐用年数が定められています。
耐用年数とは、塗料が持つ本来の防水機能や保護機能などを維持できる期間の目安です。
耐用年数を超えている場合は、見た目には問題がなくても機能が低下している恐れがあるので注意しましょう。
耐用年数は、塗料の種類によって異なります。
主な塗料の耐用年数は、次の通りです。
・ウレタン塗料:5〜10年
・シリコン塗料:7〜15年
・フッ素塗料:12〜20年
・無機塗料:18〜20年
外壁材の耐用年数は、次の通りです。
・トタン:10〜20年
・ガルバリウム鋼板:20〜35年
耐用年数を超えていなくても、建物の環境や自然災害などで劣化が進んでいる場合があります。
塗料の耐用年数は、あくまでも目安にすぎません。
実際の状況を確認することが重要です。
目に見えるトラブルが発生している
外壁にトラブルが発生している場合は、深刻化する前に外壁リフォームを検討しましょう。
外壁の劣化は、主に次のようなサインで確認できます。
・チョーキング
・塗料の浮きや剥がれ
・塗料の色褪せ
・ひび割れ(クラック)
・カビやコケの発生
チョーキングは外壁の表面を触ったときに白い粉が手につく現象で、外壁の防水機能や保護機能が低下していることを示します。
塗料の浮きや剥がれ、色褪せ、ひび割れは、雨水が浸入するリスクに直結する問題です。
カビやコケも放置すると建物が損傷する原因となるほか、住んでいる方への健康被害も否定できません。
いずれのサインも、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
外壁リフォームの手法
外壁リフォームには、主に次のような手法があります。
・塗装
・カバー工法(重ね張り)
・張り替え
それぞれの一般的な特徴を説明します。
塗装
外壁リフォームにおける塗装は、既存の外壁材に塗料を塗る方法です。
一般的に他の手法よりも工期が短く、費用も比較的安価な傾向があります。
ただし、外壁の劣化状態によっては塗装で修復できない場合もあるため、注意が必要です。
カバー工法
外壁リフォームにおけるカバー工法(重ね張り)は、既存の外壁材の上から他の外壁材を張り付ける方法です。
適切な施工により、外壁の張り替えと同程度の効果が期待できます。
ただし、既存の外壁自体にトラブルがある場合など、施工できないケースも一定数あります。
外壁が二重になることで建物の総重量が増え、耐震性などに影響することも考えられるため、専門家への相談が必要です。
張り替え
外壁リフォームにおける張り替えは、古い外壁を剥がし、新しい外壁材に丸ごと張り替える方法です。
下地にも関係するような、根本的な問題を解決しやすいというメリットがあります。
一方で、古い外壁材の撤去費用や処分費用が発生するため、高額になりやすいデメリットもあります。
他の手法に比べると工期も長くなりがちですが、長期的視点では比較的コストパフォーマンスに優れている手法です。
外壁リフォームの費用相場
外壁リフォームの費用相場は、工事の手法や建物の大きさ、使用する塗料や外壁材などによって異なります。
目安として、約30坪の住宅でトタン外壁のリフォームを実施する場合、手法別の費用相場は次の通りです。
・トタン外壁の塗装:70〜110万円
・トタン外壁からガルバリウム鋼板の外壁へのカバー工法:120〜255万円
・トタン外壁からガルバリウム鋼板の外壁への張り替え:100〜360万円
上記以外にも、足場の設置費用や消費税などの諸経費が発生します。
塗料別の費用相場は、次の通りです。
・ウレタン塗料:1,600〜2,500円/平方メートル
・シリコン塗料:1,800〜3,500円/平方メートル
・フッ素塗料:3,000〜5,000円/平方メートル
・無機塗料:3,500〜5,000円/平方メートル
外壁材別の費用相場は、次の通りです。
・金属系(トタン)サイディング:700〜3,000円/平方メートル
・金属系(ガルバリウム鋼板)サイディング:1,500〜7,000円/平方メートル
・窯業系サイディング:3,000〜6,000円/平方メートル
・樹脂系サイディング:4,000〜10,000円/平方メートル
・木質系サイディング:5,000〜9,000円/平方メートル
上記はあくまでも目安にすぎません。
劣化の程度も影響するため、専門業者への相談をおすすめします。
外壁リフォームの補助金・助成金
自治体によっては、外壁リフォームに補助金や助成金を利用できるケースがあります。
補助金や助成金は原則として、工事前の申請が必要です。
また、申請方法や必要な書類も、制度により異なります。
自治体サイトなどの確認、地元の業者への相談などで、正確な情報を手に入れましょう。
外壁リフォームを自分でやるのは危険
外壁リフォームを自分でやるのは危険性が高く、基本的にはおすすめできません。
自分でやれば費用は抑えられるかもしれませんが、デメリットの方が大きいケースも多々あります。
具体的には、次のようなリスクが挙げられます。
・不適切な対応で状況が悪化する
・高所作業による転落事故やケガの危険が伴う
・想定以上に時間と手間がかかる
・仕上がりの品質に満足できない
・養生不足による近隣への塗料飛散など、ご近所トラブルにつながりかねない
・道具の購入やレンタルなど、総費用が高額になる場合もある
プロに依頼するメリットは、このようなリスクの回避のみではありません。
専門的な知識や道具、ノウハウを持つプロに任せることにより、潜在的な問題の早期発見も可能になります。
適切な対応と確実な施工で大切な住まいの寿命を延ばし、安心・安全な暮らしの実現につなげましょう。
外壁リフォームで信頼できる業者を選ぶコツ
外壁リフォームで信頼できる業者を選ぶには、いくつかのコツがあります。
主なポイントを紹介します。
地域での施工実績が豊富か
地域での施工実績が豊富かどうか確認しましょう。
建物の特性や劣化状況は、地域の気候や風土に関係しています。
地元密着型の業者であれば、特性に応じた外壁リフォームのノウハウがあり、適切なアドバイスをしてくれます。
いざというときも迅速に駆けつけられる体制が整っていることが多いため、安心感が高いのもメリットです。
適正で明確な見積書が発行されるか
外壁リフォームの見積書で、工程ごとの詳細が確認できるかどうかも重要なポイントです。
各工程で使用される素材の種類や量のほか、発生する費用の種類や内容が明瞭に記載されているかも確認しましょう。
業者によっては書面を発行しなかったり、「工事一式」のように記載したりするなど、詳細が不透明なケースもあります。
見積書は必ず書面で受け取り、詳細までチェックすることをおすすめします。
サポートやアフターケアが充実しているか
外壁リフォームは、工事が終わっただけで終了とはいえません。
万が一のトラブルや不具合に備え、どのようなサポートやアフターケアが整備されているのか確認しましょう。
例えば、外壁リフォームの施工後、自社独自の定期点検体制を付与している業者もあります。
いざというときにスムーズに連絡がとれるよう、相談窓口の有無や受付時間、連絡方法などを確認しておくと安心です。
外壁リフォームで大切な住まいを守ろう
外壁リフォームは、住まいの寿命を延ばし、安心・安全な暮らしを実現するために重要な工事です。
外壁リフォームに迷ったときは、専門知識を持つ業者に相談することをおすすめします。
さらに、地元密着型の業者であれば、地域特有の気候や特性なども考慮したアドバイスが可能です。
外壁リフォームで後悔しないためにも普段から地元で信頼できる業者を探し、なんでも相談できる関係性を構築しておきましょう。